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【補助金あり】高年齢者の転倒・腰痛対策~2026年指針対応と実務ポイント~

  • 執筆者の写真: 賢二 内藤
    賢二 内藤
  • 3月29日
  • 読了時間: 5分

 2026年4月1日より、高年齢労働者の労働災害防止対策が事業者の努力義務として位置づけられました。

 これに伴い、職場における安全対策の見直しが求められています。

 大阪労働局では、この指針の内容を分かりやすく解説した動画を公開しており、現場での具体的な取り組みの流れが示されています。

 本記事では、転倒・腰痛対策を中心に、指針と動画のポイントを整理し、実務での対応方法を解説します。


1.高年齢者の労働災害対策が求められる背景

 高年齢者の労働災害では、転倒や腰痛が多くを占めています。

 その要因として、以下のような身体機能の変化が挙げられます。

  ・筋力やバランス能力の低下

  ・視力や感覚機能の変化

  ・身体への負担の蓄積

 これらにより、日常的な作業であっても災害につながる可能性があります。


2.【動画で解説】エイジフレンドリー指針の基本的な考え方

 大阪労働局の動画では、エイジフレンドリー指針について、次のような流れで解説されています。

 ① 努力義務としての位置づけ

  本指針は、労働安全衛生法に基づき、事業者が高年齢者の特性に配慮した対策に取り組

 むことを求めるものです。

 ② 「場」と「人」の両面からの対策

  対策は次の2つの視点で進める必要があります。

  ・職場環境(場)の改善

  ・労働者(人)への配慮

 ③ リスクアセスメントに基づく改善

  動画では、対策の進め方として「リスクの把握 → 優先順位付け → 改善」という流れ

 が示されています。


3.転倒防止対策|職場環境の見直しが基本

 転倒災害の典型例として、床の水濡れによる滑り事故が挙げられています。

 対策として示されている内容は以下の通りです。

  ・水分・油分を放置せず清掃する

  ・防滑素材の導入

  ・防滑靴の使用

  ・段差の解消、手すりの設置

 また、照度の確保や急激な明暗差の解消も重要とされています。


4.腰痛防止対策|身体負担の軽減がポイント

 腰痛対策としては、作業方法や設備の見直しが必要です。

  ・作業台の高さ調整

  ・補助機器の導入

  ・不自然な姿勢の改善

 介護現場では、リフトや移乗支援機器の活用により、抱え上げ作業の負担軽減が推奨されています。


5.作業管理と健康管理|高年齢者への配慮

 動画および指針では、個々の状態に応じた対応の重要性も示されています。

  ・無理のない作業スピードの設定

  ・適切な休憩の確保

  ・勤務時間・勤務形態の工夫

 さらに、以下の実施により、状態を把握した上で業務配置を行うことが望ましいとされています。

  ・健康診断の実施

  ・体力チェックの活用


6.リスクアセスメントの実務対応手順

 動画では、実務での進め方として以下の流れが示されています。

  1.災害事例・ヒヤリハットの収集

  2.危険箇所の洗い出し

  3.リスクの評価

  4.優先順位をつけて対策実施

 特に、高年齢者の身体機能の変化を前提に評価することが重要です。


7.エイジフレンドリー補助金の活用

 動画では、対策を進めるための支援策として「エイジフレンドリー補助金」も紹介されています。

 本補助金は、中小企業事業者を対象に、高年齢労働者の労働災害防止のための設備導入や専門家指導等の費用の一部を補助する制度です。

 ※以下は令和7年度の内容であり、本年度予算が成立した場合の補助金要綱は変更となる可能性があります。

 また、当補助金は高年齢者の雇用状況や対策・取組みの計画を審査し、効果が期待できるものについて補助金を交付するため、全ての申請者に補助金が交付されるものではございません。

 予めご了承ください。


■対象事業者(主な要件)

・中小企業事業者

・1年以上事業を実施していること

・60歳以上の高年齢労働者が常時1名以上就労していること(コースにより異なる)


■主な補助コースと内容

① 総合対策コース

・内容:

 (1)専門家によるリスクアセスメント

 (2)結果に基づく設備導入・工事等

・補助率:4/5

・上限額:100万円

👉「何から始めるべきか分からない企業様」向けの包括支援


② 職場環境改善コース

・内容:

 (1)転倒防止(段差解消、防滑床材等)

 (2)腰痛対策(リフト、作業台等)

・補助率:1/2

・上限額:100万円

👉設備投資中心の対策


③ 転倒防止・腰痛予防のための運動指導コース

・内容:

 (1)専門家による身体機能チェック

 (2)運動指導(対面)

・補助率:3/4

・上限額:100万円

👉人(身体機能)へのアプローチ


④ コラボヘルスコース

・内容:

 (1)健康教育、保健指導

 (2)健康管理システム導入等

・補助率:3/4

・上限額:30万円


■補助対象となる具体例

・防滑床材の導入、段差解消

・手すり設置

・重量物搬送機器、リフト導入

・パワーアシストスーツ

・介護用移乗支援機器 など

👉本記事で解説している転倒・腰痛対策と非常に親和性が高い制度です。


■申請時の重要ポイント

・申請後「交付決定」を受けてから実施が必要(事前着手は対象外)

・予算上限に達すると受付終了

・複数コースの同時申請不可

・年1回のみ申請可能


👉設備導入や専門家活用を検討している場合は、補助金活用を前提に対策設計を行うことが実務上有効です。


8.継続的な取り組みと体制整備

 指針では、単発ではなく継続的な取り組みが求められています。

  ・経営トップによる方針表明

  ・安全衛生体制の整備

  ・労使での話し合い

  ・年間計画の策定と見直し

 また、産業医や外部機関の活用も有効とされています。


9.まとめ|高年齢者が安心して働ける職場づくり

 高年齢者の労働災害防止は、特別な対応ではなく、職場全体の安全性向上につながるものです。

 転倒・腰痛対策としては、

  ・職場環境の改善

  ・作業管理の見直し

  ・健康・体力の把握

  ・教育の実施

 といった多面的な対応が重要です。

 指針と動画で示されている内容を踏まえ、事業場の実情に応じた取り組みを進めていくことが求められます。


■情報元

2026.03.26【労働新聞 安全スタッフ ニュース】大阪労働局YouTubeチャンネル「エイジフレンドリー指針 ~労働安全衛生法改正について 高年齢者の労働災害防止の推進~」https://www.youtube.com/watch?v=9Wo_OHxq9d8

厚生労働省「高年齢者の労働災害防止のための指針」

 
 
 

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