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カスハラ対策が10月から義務化~中小企業・クリニックが整えるべき5つの措置~

執筆者の写真: 賢二 内藤
賢二 内藤
11 分前
読了時間: 5分

1.はじめに

令和8年10月1日から、改正労働施策総合推進法により、カスタマーハラスメント(カスハラ)を防止するための措置がすべての事業主の義務となりました。

企業規模による猶予はなく、従業員数の少ない会社やクリニックも対象です。接客業に限らず、取引先との関係や電話・SNSでのやり取りも含まれます。

本記事では、カスハラの定義と義務となる措置の内容、小規模な事業所でも押さえておきたい実務のポイントを整理します。

2.「カスハラ」とはどのような言動か

法律では、次の3つをすべて満たすものを職場におけるカスハラとしています。

① 顧客、取引の相手方、施設の利用者など、事業に関係する人の言動であること

② 業務の性質などに照らして、社会通念上許容される範囲を超えたものであること

③ それによって労働者の就業環境が害されること

■「範囲を超えた」の2つの見方

②は、要求の内容が相当でない場合(サービスと関係のない要求、契約内容を大きく超える要求、不当な損害賠償の要求など)と、手段や態様が相当でない場合(暴行、暴言、威圧的な言動、執拗な電話、長時間の居座りなど)の、どちらか一方に当たれば該当し得ます。

👉要求そのものに理由があっても、言い方ややり方が行き過ぎていればカスハラになり得る、という点がポイントです。

3.義務となる5つの措置

事業主が講じなければならない措置は、厚生労働省の指針で次のように整理されています。

① 方針の明確化と周知・啓発

「カスハラには毅然とした態度で対応し、従業員を守る」という方針を明確にし、従業員に伝えます。

② 相談体制の整備

相談窓口をあらかじめ決めて周知します。既存のパワハラ・セクハラの窓口と一体にしても構いません。

③ 発生後の迅速・適切な対応

事実関係を確認し、被害を受けた従業員への配慮(担当の交代、メンタル面のフォローなど)と再発防止を行います。

④ 悪質なケースへの対処方針と体制

過度な要求を繰り返すなど、特に悪質なケースにどう対処するかを事前に決め、実行できる体制を整えます。

⑤ プライバシー保護と不利益取扱いの禁止

相談者のプライバシーを守ること、相談したことを理由に不利益な扱いをしないことを定めて周知します。

4.見落としやすい「現場での対処ルール」

パワハラ対策と比べて、カスハラ対策で特に重要なのが、現場でどう動くかをあらかじめ決めて従業員に伝えておくことです。指針では、例えば次のような対処が挙げられています。

・すぐに上司へ報告し、指示を仰ぐ

・できる限り一人で対応させない

・十分に説明しても要求が続く場合は、一定時間で対応を打ち切る

・暴行や脅迫など犯罪に当たり得る行為は警察に通報する

また、悪質なケースへの対処としては、警告文の送付、法令の範囲内でのサービス提供の停止、出入り禁止などが例示されています。

ただし、医療機関の応召義務のように、業種によっては法律上サービスの提供を簡単に断れない場合もあります。指針でも業種・業態による違いに留意するよう求められていますので、自院・自社の事情に合わせて方針を定めることが大切です。

5.正当なクレームとの線引き

注意したいのは、正当な申し出や苦情はカスハラに当たらないという点です。商品やサービスに問題があった場合の指摘は、むしろ真摯に受け止めるべきものです。

また、障害のある方が配慮を求めること自体はカスハラではありません。対策を進めるあまり、お客様の声を一律に退けるような運用にならないよう注意が必要です。

👉「どこからがカスハラか」を現場任せにせず、具体例で共有しておくことが、従業員を守ることにも、お客様との信頼関係を守ることにもつながります。

6.会社として対応すべきこと

① 方針を文書にする

社長・院長名で短い方針文を作り、掲示や配布で全員に伝えます。

② 対応マニュアルを作る

報告先、複数対応、打ち切りの目安(時間・回数)、警察への通報基準などを1~2枚にまとめるだけでも効果があります。初動の謝罪は、相手の主張をすべて認める形にならない言い方を決めておくと安心です。

③ 相談窓口を決める

小規模な事業所では、院長・事務長や役員を担当者とする方法、外部の専門家に委託する方法も考えられます。

④ 就業規則を見直す

相談者の不利益取扱いの禁止や、自社の従業員が取引先にカスハラをした場合の懲戒などを規定しておくと、運用の根拠が明確になります。

⑤ 記録と研修

やり取りの記録を残す仕組みと、方針・マニュアルの内容を伝える研修を行います。録音・録画を行う場合は、個人情報の扱いにも配慮が必要です。

7.まとめ

カスハラ対策は、令和8年10月1日から企業規模を問わず義務となりました。

ポイントは、方針・相談窓口・事後対応に加え、現場での対処ルールと悪質なケースへの方針を事前に決めて伝えておくことです。業種によって取れる対応は異なりますので、自社の実態に合った形で整備することが重要です。

対策の具体的な内容は事業の内容や体制によって変わりますので、判断に迷う場合は専門家や都道府県労働局にご相談ください。

本記事は2026年10月25日時点の情報に基づいています。

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▶お電話:090-6233-5508(受付時間 9:00~17:00)

■情報元

・2026.09.15【労働新聞 実務相談Q&A】カスハラ対策の注意点は 10月から改正法施行で(2026年9月15日 第2506号)

・2026.09.16【労働新聞 ニュース】「謝罪の台詞」明記を カスハラ対応手引に 埼玉労働局・説明会(令和8年9月21日 第3561号)

・厚生労働省HP:職場におけるハラスメントの防止のために

・厚生労働省HP:カスタマーハラスメント防止指針(令和8年厚生労働省告示第51号)

・厚生労働省 Webマガジン:従業員を守るために ― カスタマーハラスメント対策の新ルール

 
 
 

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