大阪府の最低賃金は1,231円に~10月発効、月給者・手当の確認ポイントを解説~
1.はじめに
令和8年度の地域別最低賃金が各都道府県で改定され、大阪府では令和8年10月1日から時間額1,231円となりました。
10月分の給与計算を迎えるこの時期は、改定後の金額を下回っている従業員がいないかを確認する大切なタイミングです。
本記事では、今回の改定額の概要と、時給者・月給者それぞれの確認方法、見落としやすい手当の扱いについて、実務の視点から整理します。
2.令和8年度の改定の概要
■全国の状況
改定後の全国加重平均額は1,177円で、前年度の1,121円から56円の引上げとなりました(引上げ率5.0%)。
最も高いのは東京都の1,280円、最も低いのは宮崎県の1,085円です。
発効日は都道府県によって異なり、10月1日に発効した地域のほか、11月・12月に発効する地域もあります。
■大阪府と近隣府県
・大阪府:1,231円(前年度1,177円、54円増)/令和8年10月1日発効
・兵庫県:1,172円/令和8年10月1日発効
・京都府:1,180円/令和8年11月16日発効
・滋賀県:1,136円/令和8年10月3日発効
・奈良県:1,107円/令和8年10月4日発効
・和歌山県:1,101円/令和8年10月3日発効
最低賃金は、会社の本社所在地ではなく、従業員が働く事業場の所在地の金額が適用されます。府県をまたいで事業所や店舗がある場合は、事業所ごとに確認が必要です。
また、派遣労働者については、派遣元ではなく派遣先の事業場の所在地の最低賃金が適用されます。
3.最低賃金を下回っていないかの確認方法
■時給の場合
時給額が最低賃金額(大阪府なら1,231円)以上かどうかを、そのまま比べます。
■日給の場合
日給を1日の所定労働時間で割り、時間額に換算して比べます。
■月給の場合
月給を「1か月平均所定労働時間」で割り、時間額に換算して比べます。
例えば、1か月平均所定労働時間が160時間の会社では、
1,231円 × 160時間 = 196,960円
となり、対象となる賃金の月額がこれを下回ると最低賃金違反となります。所定労働時間が長い会社ほど必要な月額は高くなるため、「月給20万円だから大丈夫」とは言い切れない点に注意が必要です。
4.見落としやすい「対象外の賃金」
最低賃金と比べる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金に限られます。次の賃金は計算から除外します。
・臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
・時間外・休日・深夜の割増賃金
・精皆勤手当、通勤手当、家族手当
👉特に注意したいのは、手当を含めた総額では最低賃金を上回っていても、除外すべき手当を差し引くと下回ってしまうケースです。
例えば、基本給を低めに設定し、皆勤手当や家族手当で総支給額を整えている給与体系では、改定のたびに確認が欠かせません。
また、固定残業代(一定時間分の時間外手当を定額で支払うもの)も、時間外労働の対価である以上、最低賃金の計算からは除いて考えます。
5.会社として対応すべきこと
① 時給者の時給を改定する
10月1日以降の労働分から改定後の金額が適用されます。給与の締め日が月の途中にある場合は、締め期間の途中から時給が変わる点に注意してください。
② 月給者・日給者を時間額に換算して確認する
時給者だけでなく、月給者・日給者も換算して確認します。とくに入社間もない若手社員や、所定労働時間の長い職種は要注意です。
③ 賃金規程・労働条件通知書を見直す
時給額の改定に合わせて、賃金規程や労働条件通知書の記載も更新しておきます。
④ パート従業員の働き方を確認する
時給が上がると、同じ勤務時間でも年収が増えます。扶養の範囲内で働きたいと考えている従業員もいるため、年末に向けて早めに勤務時間の希望を確認しておくと安心です。
⑤ 試用期間中・研修中の賃金も確認する
試用期間中であっても、最低賃金を下回る賃金とすることは原則としてできません。減額の特例を利用するには、都道府県労働局長の許可が必要です。
なお、最低賃金を下回る賃金を労使で合意しても、その部分は無効となり、最低賃金額と同じ定めをしたものとみなされます。差額の支払いが必要になるほか、地域別最低賃金を下回った場合には50万円以下の罰金の対象となります。
6.まとめ
大阪府の最低賃金は、令和8年10月1日から1,231円に引き上げられました。
時給者の時給改定はもちろん、月給者の時間額換算や、計算から除外すべき手当の扱いなど、確認すべき点は少なくありません。特に手当の比重が大きい給与体系の会社では、総支給額だけで判断しないことが重要です。
個別の給与体系によって確認のポイントは異なりますので、判断に迷う場合は専門家や労働基準監督署にご相談ください。
本記事は2026年10月10日時点の情報に基づいています。
■労務管理事務所 縁(えにし)のご案内
労務管理事務所 縁は、大阪・新大阪の社会保険労務士事務所です。
最低賃金の改定に伴う賃金規程・給与計算の見直しについても、個別の状況に応じてご相談をお受けしております。
労務手続・給与計算の代行、就業規則の作成・改定、助成金の申請代行など、人事部のない企業様の“外部人事パートナー”として、創業期から成長期まで伴走いたします。
ご相談のみのお問い合わせも歓迎しております。まずはお気軽にご連絡ください。
▶お問い合わせはこちら(https://www.enishi-lassa.com/お問い合わせ)
▶お電話:090-6233-5508(受付時間 9:00~17:00)
■情報元
・2026.09.14【労働新聞 ニュース】最賃56円引上げに 平均時給は1177円 地賃審答申(令和8年9月21日 第3561号)
・厚生労働省HP:地域別最低賃金の全国一覧(令和8年度地域別最低賃金全国一覧)
・厚生労働省HP:最低賃金額以上かどうかを確認する方法
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/chingin/newpage_43899.html
・厚生労働省HP:最低賃金の対象となる賃金
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/chingin/newpage_43898.html
・厚生労働省HP:最低賃金制度とは
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/chingin/newpage_43880.html
・厚生労働省 最低賃金制度特設サイト:派遣労働者の最低賃金

コメント